「嫌われた監督」落合博満のオレ流哲学

こんにちは。人材開発の冨田です。

野球界のレジェンド「落合博満」について書かれたこの書籍。そのタイトルは「嫌われた監督」です。

今日は、ベストセラーとなっているこの本の解説をいたします。

選手として偉大な記録を打ち立てた落合博満。名選手が必ずしも名監督になるとは限りません。でも、落合は「勝つ」という意味においては名監督でした。

そして、その代償としての「嫌われ役」をいといませんでした。勝つために球団と契約しているのだ。その確固たる信念を曲げずに、8年間指揮をとってきました。

落合監督は、もともと選手時代から周りの慣習に抗い、「オレ流」を貫き通してきました。そして、揺るぎない自身の「哲学」を持っています。

「プロフェッショナル」とは何か。

それは結果を残すこと。契約を全うすること。自分自身の力で給料を上げていくこと。

そして、監督として大事なことは、余計な感情論に流されない。冷徹な判断ができることです。

就任1年目でリーグ優勝を果たしたのですが、なんとそのシーズンオフに、選手13人、コーチ7人、その他裏方のスタッフを数人クビにしました。

選手は力量によるところですが、コーチやスタッフは、内部情報をリークした疑いがあるから、という理由です。落合は、信用の置けない人間は切り捨てます。

一方で、怪我で3年間もリハビリしていた川崎憲次郎投手を開幕投手に抜擢したり、そして最後には、引退試合の花道を用意してあげたり、情に熱い一面もあります。

本当は人情に厚く、相手のことをよくわかっている理解者なのですが、一度勝負の世界に身を置くと、情に流されず冷徹になれます。

そして、「聖域」にもメスを入れることができます。

たとえば、中日ドラゴンズの顔である「立浪」選手をレギュラーから外し、控えに回したことです。何も告げずに突然先発メンバーから外しました。

立浪といえば、1年目に新人賞を取り、そこからずっとチームの顔として君臨してきた選手です。普通の監督ならできないと思います。

でも、落合監督は立浪の守備の衰えを見抜いていました。いつも同じ場所から定点観測をしていると、今までは抜けなかった打球が次第に抜け始めます。見えない出塁を許していたことを懸念していました。

そこに、その聖域に、能力はあるがくすぶっていた「森野」選手に挑戦させました。その鍛え方たるや、ノックで病院送りにするくらいです。

そして、落合監督のハイライトシーンといえば、2007年の日本シリーズ第5戦でしょう。

3勝1敗で迎えた名古屋ドーム最終戦。8回まで山井投手がパーフェクトピッチングをしていて、点差はわずかに1点です。そんな、パーフェクトゲームがかかった山井投手に変えて、9回のマウンドに岩瀬投手を送りました。

これには衝撃が走りました。非情すぎる采配だと非難されました。

この采配の理由として、山井は試合中盤からマメが潰れて出血していたとか、自ら変えて欲しいと言ったとか言われていますが、それは確かに真実なのですが、ピッチャー心理として、本音で変えて欲しいわけがありません。

変えて欲しいと言わせたのが落合監督であり、その意図を汲んだ森繁和ピッチングコーチです。

そして、岩瀬投手も9回に備えてしっかり準備をしていました。落合ならやり兼ねない。皆そう思っていたからです。

ベンチの落合監督は決して笑わず怒りもしない。いつも完全なる無表情です。一喜一憂すると、選手に影響を及ぼしてしまうからです。ゲームの采配も、いつもバントを多用し、面白くない野球だと批判も多かったです。

しかし、落合監督は面白い試合をするのではなく「勝つ」試合を貫いてきました。そんな8年間でした。

最後に

今年のプロ野球は、日本ハムの新庄剛志監督が話題となっていますが、その新庄氏の対極にいるのが落合博満氏です。

ファンサービスはしない。勝つことでファンが喜ぶのだと。

そこには、孤独なオレ流の哲学がありました。

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