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シャインマスカットから見る「日本の技術流出問題」

 

こんにちは。冨田です。

最近、「シャインマスカットが中国や韓国で大量に栽培され、日本の30倍の規模になっている」というニュースが話題になりました。

日本が生み出した高級ブドウが、海外で無断栽培され、しかも日本より安く出回っているという現状です。

マーケットの原則として、「需要と供給」によって価格が決まりますので、量産できる海外産の安いシャインマスカットの方が売れていくわけです。

実はこれ、昔の日本の製造業で起きた、電気自動車(EV)や液晶テレビとまったく同じ構図なのです。

 

日本が「高品質」でリードするが、守り切れない

日本は長年、世界最高レベルの技術を磨き続けてきました。
シャインマスカットも、農研機構が20年以上かけて改良を重ね、甘さ・香り・外観のすべてで世界一の評価を得た品種です。

しかし、海外で品種登録をしていなかったため、苗木が中国や韓国に渡ると、法的に止める手段がありませんでした。
その結果、中国での栽培面積は日本の約30倍、韓国では2倍以上となりました。

「日本の味」が海外で量産・低価格化され、ブランド価値は急速に薄まりつつあります。
これと同じことが、過去に何度も繰り返されてきました。

 

液晶テレビが象徴する“海外への技術流出”

かつて日本の家電メーカーは、液晶技術で世界を席巻していました。
ところが、海外生産や技術ライセンス供与を通じて韓国・中国メーカーに技術が伝わり、サムスンやLGが主導権を奪取しました。

日本勢は「高品質だけど高すぎる」存在となり、コスト競争で敗北しました。

当時、日本企業は「技術を公開しても品質では勝てる」と考えていました。
しかし実際には、低コスト・大量生産の仕組みを構築した海外勢に押され、結果として技術が“商品力”に転換される前にお客を奪われてしまったのです。

EVでも進む同じ流れ

いま、自動車業界でも似た現象が起きています。
電気自動車の先駆けは日産リーフです。
また、トヨタ、ホンダはハイブリッドや電池技術で世界をリードしてきたものの、今や世界のEV市場はBYDやテスラ、中国CATLが中心です。

日本勢は技術的には優位でも、生産コスト・スピード・資本力の差が広がっています。

これも「技術開発は強いが、ビジネスモデルとグローバル展開で後れを取る」という日本の弱点を浮き彫りにしています。

 

技術を守る“仕組み”の弱さ

シャインマスカットの件で農水省は、海外ライセンス制度を作り、「正規品ブランド」で対抗しようとしています。
しかし、すでに市場に非正規品があふれている状況では、後追いの対策では焼け石に水です。

これは農業に限らず、製造業、IT分野でも共通しています。
日本は「技術を作る」ことには長けていますが、以下のことが苦手です。

・知的財産の国際登録(特許・品種権)
・グローバルブランド戦略
・データやサプライチェーンの管理

日本はこうした“守るための仕組み”が脆弱なのです。

 

では、どうすればよいのか?

今後の日本に必要なのは、「技術」+「ブランド」+「仕組み」の三位一体モデルです。

技術:他国が簡単に模倣できない独自性を維持する

ブランド:高品質だけでなく「日本らしさ」や「ストーリー」で差別化する

仕組み:法的保護、ライセンス管理、データ制御で継続的に優位を保つ

農業でいえば「日本産シャインマスカット=信頼の証」、製造業でいえば「日本製=安全・高精度・長寿命」といった、プレミアムブランド価値を磨き続けることが重要なのです。

まとめ

今や、どんなに優れた技術でも、すぐに模倣される時代です。
技術そのものよりも、「それを誰が、どんな哲学で作っているか」というストーリー、つまり「ブランド」作りが大事になってきます。

シャインマスカットも、“ただ甘く美味しいブドウ”ではなく、「日本の職人精神が生んだ奇跡の果実」という物語の発信ができれば、唯一無二の存在になれると思います。

とはいえ、最初からしっかり「ライセンス登録」をしておくことが最重要ですね。

それではまた。

 

 

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