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ニセコやTSMCから見る日本の失われた30年

 

こんにちは。冨田です。

今年に入って、日経平均株価が急騰しています。バブル期に記録した最高値を、34年ぶりに更新したのが記憶に新しいところです。そして初の4万円台も突破しました。

この株価だけを見ていると、なんだか日本も景気が良くなってきたなぁと思われるかもしれませんが、ようやく失われた30年を取り戻しただけとも言えます。

と言うのも、世界を見渡してみると、アメリカダウ平均はこの30年で約10倍、イギリスFTSEでも約4倍、韓国総合株価でも5倍と、どこも軒並み爆上がりしています。

それに比べると、日本は30年で1.03倍?なので、景気が良いとはとても言えませんね。

あと、景気の状態を見る際に、株価ともう一つ大事な指標があります。それは「物価」です。物価上昇率、つまり「インフレ率」がその国の勢いを表しています。

日本のインフレ率をみると、この30年間まったく変わっていません。ここ1、2年は原材料高騰の影響から物価が上がったのを実感する人は多いかと思いますが、数十年単位でみるとほとんど変わっていないのです。

昔を思い出してみてください。値段はそんなに変わっていないはずです。100円均一ショップはずっと100円で買えますよね。コンビニでお菓子やジュースを買う時も、昔と変わらず数百円で買えますよね。

もちろん消費税分(10%)は価格に転嫁されてはいますが、同じ物が2倍3倍になることはありません。

価格が変わらないのは、消費者にとってはありがたいのですが、それは「日本の中だけ」で完結できるならば、という前提です。つまり、日本で生産して日本で消費する。それならば何も影響はありません。

でも、グローバリゼーションの現代において、そんなわけにはいきません。

 

熊本県へ進出したTSMC

今年、台湾の半導体メーカー「TSMC」が熊本県で新工場を稼働させました。TSMCは世界一の半導体メーカーです。車やスマートフォンなど、日常のあらゆる製品に搭載されています。

2、3年前には、半導体不足で物が作れないといった時期があったかと思います。トヨタ自動車なんかは大きなニュースになりましたね。

そんな世界的に需要の高い「半導体」は、取り合いになること必至です。そこで日本政府は、1兆円規模の補助金を出し、日本にTMSCを誘致したのです。

TSMCとしても、台湾有事のリスクもあるため、海外工場を展開したいという思惑もあり、両者の望みが合致しました。

さて、ここで言いたいのは、そのTSMCで募集している給与がめちゃくちゃ高いということです。

たとえば新卒の初任給は「28万円」です。これは熊本県内の製造業より、7万円以上高い水準です。TSMCの食堂のパートの時給が3000円というニュースもありました。

そして、熊本工場を建設する建設会社の報酬もめちゃくちゃ良かったみたいです。土建屋の職人さんたちは、熊本の夜の街で豪遊していたとか。。

熊本県菊陽町では、いまTSMCバブルが起きています。

 

ニセコの現在地

一方、北海道のニセコ町も数年前からバブルが起きています。冬のスキーシーズンには多くの外国人がニセコのスキー場に訪れ、パウダースノーを楽しんでいます。

その中で多いのは、オーストラリア人やフランス人、そして華僑です。どの国も日本に比べて物価が高く、日本人よりもお金を持っている人たちです。

いまニセコのスキー場に集まる人たちは、そのようなお金持ちばかりとなっています。

その結果何が起きたかと言うと、ニセコの土地価格やホテル代が爆上がりしました。飲食店で売られている物も軒並み高くなり、たとえば「おにぎり1個1000円」、「天ぷらうどん2000円」とか。とても日本人では手が出ないような値段になっています。

ニセコ地区で働く人の給与もめちゃくちゃ高くて、客室清掃などは時給1600円で募集しています。冬の間だけ、ニセコにリゾートバイトとして、出稼ぎをしに来る若者も多いようです。

つまりどういう事かと言うと、ニセコ地区だけやたらと物価が高くなり、日本ではありますが、外国のような状態になっているという事です。もはや日本人が気軽に遊びに行ける場所ではないという事です。

これからの日本

このように、日本にも「外資」が入ってくると、局地的に物価が高くなります。ちなみに、ニセコに続いて長野県の白馬村も外国人が増えていて、この地区もまもなくニセコ化していきます。また日本人が気軽に行ける場所が減ってしまいますね。

と、後ろ向きな話をしたいのではなくて、むしろその逆です。これからの日本は物価高を受け入れ、緩やかにインフレを起こしていくべきだと思います。

サービス提供者側も、躊躇することなく値上げをし、消費者はそれをしっかり受け入れる。そうすると会社も売上、利益が上がり、そこで働く人たちの給与も上がるという循環になります。

給与が上がれば値段が高くても買える。高くても売れれば、給与がまた上がる。まさに「ニワトリと卵」状態。この循環が生まれれば、日本も「景気が良い」状態と呼べるのではないでしょうか。

株価もやっと30年前に戻しただけで、これから5万円、10万円と上がっていっても不思議ではありません。

たしかに日本は少子高齢化で人口減のフェーズに入っていますが、移民をたくさん受け入れ、インバウンド客をもっともっと増やし、高単価でサービスを提供していけば、ワンチャン日本の復活劇はあるんじゃないかと思います。

 

最後に

日本はいま転換期を迎えようとしています。ここ2、3年、原材料高騰の影響から物価が上がっていて、今のところ給与が物価に追いついていない状態です。でも、じわりじわり給与が上がって来ているのも事実です。

とくに製造業など、人手不足が深刻な業界では給与を上げないと人を確保できませんから、明らかに給与水準は上がってきています。

もう少し物価高で苦しむ期間はありますが、そこを耐え凌ぎ、インフレに慣れ、高くても買うという循環が生まれれば、きっと給与も上がってくるはずです。

ということで、最後は少し大きな話になってしまいましたが、日本もまだまだ捨てたもんじゃないよと言いたかったわけです。

それではまた。

 

 

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