日本の有事に対応する自衛隊の実力とは
こんにちは。人材開発の冨田です。
今のウクライナ情勢を見ていて、もし日本が攻められた時には、果たして大丈夫なのだろうか?アメリカは守ってくれるのだろうか?と考えさせられます。
日本は、日米安全保障条約でアメリカに守られていると思っている人は、もしかしたら考えが甘いのかもしれません。
オバマさんからトランプさん、そして、現バイデン大統領と、近年のアメリカは「世界の警察」という立ち位置をやめてきました。世界各地の内戦に干渉しなくなり、徐々に手を引いています。
そんな状況下、日本の防衛に関して、真剣に考えなくてはいけない時期に来ているのかもしれません。度重なる北朝鮮の挑発や中国の圧力、そして今回のロシアの暴挙。
日本には自衛隊がありますが、戦力的に大丈夫なのだろうか。いざ侵攻された際には、立ち向かえるのだろうか。
ということで、今日は、現在の自衛隊の規模や実力を紐解いてみたいと思います。
自衛隊の発足
そもそも、自衛隊はいつできたのでしょうか。
第二次世界大戦で敗北して、その後GHQ(連合国軍総司令部)に仕切られて、武力はすべて排除されました。
しかし、1950年の朝鮮戦争勃発により、日本へ駐留していたアメリカ軍がすべて朝鮮半島に派兵されました。そこで、丸腰になってしまう日本に、軍隊のような組織を作れと指示したのがマッカーサーです。
日本国憲法では「武力は持たない」とされているので、それは軍隊ではなく、警察予備隊と呼びました。(警察と”呼びたい”と覚えてください)
その後、名称は「保安隊」となり、いまの「自衛隊」へと変更されました。今現在、総兵力は約24万人(うち女性1万2300人)です。
海上自衛隊の役目
国内50の地区に基地や警備所が設けられ、4万5千人以上の自衛官がいます。中でも5大基地といわれるのが横須賀(神奈川)、佐世保(長崎)、呉(広島)、舞鶴(京都)、大湊(青森)です。
海上自衛隊には3つの使命があります。それは、「国際平和協力のための活動」「国土の防衛」「海上交通の保護」です。
「国土の防衛」でいうと、日本の海上に不審船がいないか、常にパトロールをしています。そして、空からの脅威にも対応します。例えば、北朝鮮からミサイルが飛んできた時に、そのミサイルを撃ち落とすため、「イージス艦」という船艦があり、これは24時間体制で見張っています。
そして、「海上交通の保護」には、日本の経済を支えるという意味があります。日本は、海外からの輸入の9割以上を海上輸送に頼っているため、それが止まってしまったら経済は大打撃を受けます。
そこで、日本に運ばれる民間の船を警護するという役目があるのです。つまり、海賊対策です。
航空自衛隊の役目
日本の空を守る航空自衛隊は、73ヵ所の基地があり、4万人以上の自衛官が配置されています。その中で、戦闘機を多く配備しているのが、千歳、三沢、百里、小松、新田原、築城、那覇の7つの基地です。
大きな役目として、「領空侵犯措置」があります。つまり、日本の領空に接近する恐れのある航空機に対して、戦闘機が緊急発進する、いわゆる「スクランブル」をかけるのです。365日、24時間体制で待機しています。
ちなみに、2020年のスクランブル回数は725回で、中国機が63%、ロシア機が36%、その他が1%です。過去最高の2016年の「1168回」よりは減ってきていますが、やはり中国、ロシアの脅威は変わりません。
その他、国防以外にも、山や海で避難した人々の捜索や救助をするのも、航空自衛隊の大事な役目です。
陸上自衛隊
陸上自衛隊は、全国158ヵ所に拠点を持ち、約14万人の自衛官が配置されています。ちなみに、陸上自衛隊の場合は、基地とは呼ばず、駐屯地や分屯地と呼びます。
最新の戦闘車である16式機動戦闘車は、走行用ベルトではなくタイヤになっています。有事の際、速やかに目的地に到着できるようにするためです。
タイヤなので高速道路も走れます。戦車の場合、最速で時速70キロですが、16式機動戦闘車なら時速100キロは出せます。いま世界の中でも、一番優れている戦闘車と言われています。
憲法9条との兼ね合い
世界の「軍事力ランキング」というのがあります。これは、アメリカの軍事力評価機関であるGFPが年に一度、軍人の数や装備、予算額など50個の指標をもとに試算して発表しているランキングです。
最新のランキングでは、日本はなんと5位です。アメリカ、ロシア、中国、インドに次ぐ軍事力です。核を持たない国としてはトップに位置します。
そこで、いつも議論されているのが、憲法9条との兼ね合いです。9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあります。
しかし、自衛のためならば「何らかの力」を持つことはできます。これが、日本の歴代内閣の解釈ということになります。世界5位の軍事力を持っていながら、これは「戦力」ではなく、あくまで自衛のための「実力」であると。あきらかに矛盾をはらんでいるのですが、そういう解釈です。
北朝鮮ミサイルのシミュレーション
近年、北朝鮮がミサイルを発射しまくっています。そして、日本列島を飛び越えることもしばしば。日本からしたら、脅威でしかありません。
でも、北朝鮮の狙いは、アメリカに対してのアピールです。日本にミサイルを打ち込むことはないでしょう。仮に打ち込んでしまったら、その瞬間にアメリカ軍の報復により、北朝鮮という国が地上から消えて無くなることが分かっているからです。
ただ、100%無いかと言い切れないのも確かです。そして、その有事に備えることも必要です。ということで、もし仮に、北朝鮮がミサイルを日本に発射した場合に、日本はどのような対応をするのか、シミュレーションをしてみたいと思います。
北朝鮮から弾道ミサイルが発射された場合、日本への到達時間は約「10分」と言われています。
北朝鮮の弾道ミサイルを最初にキャッチするのは、アメリカの「早期警戒衛星」です。アメリカはこの衛星の赤外線センサーで24時間、北朝鮮のミサイル発射を監視しています。
ミサイルをキャッチすると、その情報はアメリカ本土の米軍基地とオーストラリアにある衛星追跡基地に送られ、発射地点、発射時刻、ミサイルの種類、着弾予測地点、着弾予測時間の5つの情報を割り出します。
そして、日本に情報が入るのは発射から「1分後」です。米軍基地を通じて、防衛省と航空総隊司令部に届きます。
通常なら、防衛大臣は総理の承認を得て自衛隊に破壊措置命令を出すのですが、状況が差し迫っている現在は、持続的に破壊措置命令を出しておく「常時発令」の状態になっています。
発射された弾道ミサイルが、ロケットエンジンの噴射が終わり、大気圏の外に出るのが発射から2、3分後です。そして、この大気圏から出て放物線を描いて速度が遅くなっている状態の時に、タイミングよく迎撃ミサイルで狙うのです。それをやるのが、日本海に展開する海上自衛隊の「イージス艦」です。
発射するのは「SM-3ブロック1A」という迎撃ミサイルで、アメリカの衛星情報をもとに、ターゲットである北朝鮮の弾道ミサイルに誘導できる仕組みとなっています。つまり、自動で軌道修正を行いながら弾道ミサイルを迎撃するのです。
万が一、迎撃ミサイルが外れてしまった場合は、航空自衛隊の「PAC-3システム」と呼ばれる迎撃システムが「最後の砦」となります。
地上から、落ちてくる弾道ミサイルに対して迎撃するシステムですが、最大迎撃地点は地上から15キロで、旅客機が飛んでいる少し上くらいの位置です。そして、着弾する直前の「数十秒」の間で迎撃しなくてはなりません。ほんとギリギリの戦いです。
最後に
ということで、まず考えられないことですが、北朝鮮が本当に日本列島に向けてミサイルを発射した場合の対策を紹介しました。
今の国際情勢を見ていると、本当何が起きるか分かりません。そして、アメリカは世界の警察をやめています。そんな中、日本は「自分たちを守るのは自分たちしかいない」ということを、改めて認識した方がよいのではないかと思います。
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