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高校野球の野球留学にみる行き過ぎた「甲子園」ブランド

 

こんにちは。人材開発の冨田です。

夏の甲子園が終わりましたね。104回大会は、仙台育英(宮城)が栄冠を手にしました。意外にも、東北勢は初優勝なんですよね。下関国際(山口)も、今大会は大健闘でした。センバツ優勝校、準優勝校を破っての決勝進出でした。両校ともに素晴らしかったです。盛大な拍手を送りたいと思います。


さて一方で、プロ野球界の方では、今年は村上宗隆選手が「3冠王」まっしぐらの大活躍を見せています。ところで、彼は甲子園に出場していたのでしょうか。高校時代の活躍ぶりはどうだったのでしょうか。

今日は、そのあたりを深堀りしていきたいと思います。少々長くなりますが、お付き合いください。

 

村上宗隆から甲子園を阻んだ最強チーム

村上選手は高校時代、「九州学院高校」に所属していて、1年生の時に夏の甲子園を経験しています。ただ、その後2年間、再び甲子園の土を踏むことはありませんでした。

それはなぜかと言いますと、当時の熊本県内では、秀岳館高校が最強すぎて、甲子園行きをすべて阻まれていたからです。

秀岳館高校の圧倒的な強さには理由がありました。それは、中学のシニアリーグで全国チャンピオンになった「枚方ボーイズ(大阪)」の中心メンバーを、ごっそり秀岳館高校へ引っ張ったからです。

そして、その張本人は、当時枚方ボーイズから秀岳館高校の監督に就任した「鍛治舎(かじしゃ)監督」です。

当時の秀岳館高校は、枚方ボーイズのメンバーがチームの中心でした。その他も、ほとんどが県外の選手で、ベンチ入りメンバーの中で、地元熊本県の選手はただ一人だけでした。

 

地元メンバーチームの苦難

ただ、県外から野球の上手い選手を引っ張ってくるのは、いまや名門校であれば、どこでもやっている当たり前のことです。今回の甲子園出場高校をみても、私立高校のほとんどは、地元以外の県外メンバーで構成されています。

となれば、県内出身の選手だけで構成されているチームは、なかなか地方大会で勝ち上がってくることができません。毎年毎年、いつもの強豪私立高校が優勝し、甲子園に出場しています。

もちろん、選りすぐりの県内出身メンバーだけで、毎年強いチームを作り上げる高校もあります(花巻東・作新学院など)

しかし、やはり相対的には、県外から集めてきたチームの方が強くなります。

 

片道切符の野球留学生

それでは、選手の目線で見てみましょう。まず、野球の上手い中学生は全国各地にいますが、とりわけ関西圏が充実しています。

そんな有望な選手は、甲子園に出て活躍したいと思っているのですが、仮に関西の強豪高校に入部すると、超絶上手い選手が多数いるので、レギュラーになれる可能性は低くなるでしょう。

しかも、関西や関東など、強豪校も多く学校数も多い激戦区だと、甲子園に出場すること自体、可能性は低くなります。

であれば、学校数の少ない地方の高校へ入り、そこでレギュラーとして活躍して甲子園に出場する方が、ずっと可能性は高くなります。

なので、野球の上手い多くの選手は、「野球留学」という形で、地方の強豪高校へ進学するのです。

でも、逆に言うと、彼らは「甲子園出場」が絶対的な目的なので、もし怪我をしてプレイができなくなった場合には、退学して帰るわけにもいかず、とても残酷な状態となります。

行き過ぎた甲子園ブランド

しかしなぜ、彼らはそこまでして甲子園に出場したいのでしょうか。選手はもちろんのこと、名門校の監督、部長、そしてOBの人たちの熱量も半端ありません。

日本の高校野球は「甲子園」がブランド化しています。100年以上に渡る歴史もさることながら、数々の「名ドラマ」が甲子園で生まれています。そして、メディアを通して小さい頃から観てきたからこそ、「甲子園」は球児にとって特別なんだと思います。

ちなみに、アメリカの高校野球は「甲子園」のような全国大会はありません。せいぜい州大会で優勝を目指すくらいです。アメリカの野球少年の目標は、メジャーリーガーなので、野球の上手い子はスカウトの目に留まるよう強豪チーム入り、腕を磨くことに専念します。

日本の「甲子園ブランド」が及ぼす影響として、とりわけ問題視されているのが、投手の「投げさせすぎ問題」です。甲子園に行けば、連投に次ぐ連投です。もっと言えば、地方大会からも連投、多投させています。

そのせいで、せっかくプロ野球選手になっても、高校時代に無理したことが原因で、大怪我をする選手が少なくありません。

 

佐々木朗希にみる新しい考え方

そこで、高野連としても、連戦にならないよう休養日を設けたり、球数制限を設定したりしています。

ただ、強豪チームであれば良い投手が何人もいて、ローテーションで回すこともできますが、いわゆる「絶対的エース」で勝ち上がってきたチームは、どうしてもエース頼みになってしまいます。

つまり、チームが勝ちたいがあまり、エース一人に「多投」させてしまい、肘や肩へ大きな負担を強いることになります。

そんな中、昔ながらの慣習に抗った事件が起きました。2019年の佐々木朗希投手(大船渡高校)の起用法です。

なんと、岩手県大会の準決勝で投げて、勝った翌日の決勝戦では、佐々木選手を出場すらさせませんでした。結果、決勝戦で敗退して甲子園出場を逃しました。監督の信念で投げさせなかったのです。

この一件は、今までの高校野球の歴史上、前例がなく、野球界では物議を醸しました。甲子園よりも、選手の将来を優先したのです。

 

最後に

この佐々木朗希投手の起用法は、プロに入っても同じでした。とにかく球数制限をして、肩肘の負担を減らして、大事に大事に育成しています。プロの体が出来るまでは、無理はさせないという方針です。

もし、佐々木朗希投手が、40歳近くまで大きな怪我もなく選手生活を送れたとしたら、この育成方法は「正解」だったと言えます。

佐々木投手のこの事例は、日本球界における「試金石」になりえるのではないでしょうか。

高校野球の野球留学の話から飛躍してしまいましたが、つまり何が言いたいかといいますと、日本の高校野球は、「甲子園」というブランドが強烈すぎて、高校生の体を酷使し過ぎているのではないか、ということです。


ですが、、、

ここまで言っておきながら、私は高校野球の甲子園が大好きです。あの「熱狂」は、高校球児じゃなくてもめちゃくちゃテンション上がります。毎年ヤバいです。感動します。

ということで、長くなりましたが、以上です。

それでは、また。

 

 

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