甲子園のスターと隠れスター
こんにちは。人材開発の冨田です。
今年の夏の甲子園は無観客開催となり、さらには開幕から連日雨が続き、順延に次ぐ順延となっています。
今日は、その高校野球の、「甲子園のスターと隠れスター」についてお話します。(ちょっとマニアックな話になりますので興味が無い方はパスしてください)
私は、2015年の夏の大会からコロナで中止になる年まで毎年(春・夏)甲子園に観に行ってました。
そこで、私が間近で観てきた甲子園のスター選手たちの、その後のプロ野球での活躍と、同年代で最も活躍している選手について紹介したいと思います。
まずは2016年です。
この年の注目選手は、投手4天王と言われた「横浜:藤平(現楽天)」「履正社:寺島(現ヤクルト)」「花咲徳栄:高橋(現広島)」「作新学院:今井(現西武)」です。
夏の甲子園優勝高は今井擁する作新学院(栃木)でしたが、実は当初今井はそんなに注目されていませんでした。がしかし、あれよあれよと勝ち進んで行くうちに知名度が上がり、一気にドラ1候補となったわけです。
私も生で今井のピッチングを見ましたが、糸を引くようなきれいなスピードボールでした。
そんな彼らがプロの世界でどういう活躍をしているかと言うと、実はパッとしていません。
高校生としては群を抜く能力を持ち合わせていたのですが、プロの世界では今のところ「並の選手」に留まっています。
そんな中、彼らと同学年に、いま「プロ野球ナンバーワン投手」と言っても過言ではない投手がいます。
オリックス 山本由伸(宮崎県:都城高校)
プロ5年目(2016年ドラフト4位)
通算 防御率2.27 30勝 18敗 32ホールド
獲得タイトル 19年防御率 20年奪三振率
東京オリンピックでも活躍していたのでご存知の方も多いと思います。投げる球すべてが一級品で、すでにメジャーのスカウトからは熱い視線を送られています。
そんな山本投手ですが、高校時代は甲子園出場経験も無く、実は全国的には無名の選手でした。
続いて2017年です。
この年のスター選手はなんと言っても「早稲田実:清宮幸太郎(現日本ハム)」です。
近年の高校野球ブームの火付け役でもあります。
試合前の球場に長蛇の列を作り上げていた張本人です。高校通算111本塁打はぶっち切りのナンバーワンです。
しかし、清宮は最後の夏には甲子園に出られませんでした。
代わりに甲子園で世間を沸かしたのは、「広陵:中村奨成(現広島)」でした。
あの清原和博氏が持つ一大会5本塁打を超える6本塁打を放ち、一躍スター選手におどり出ました。
他には、履正社の安田(現ロッテ)も強打者で、西の横綱と言われ注目されていました。
しかしながら、この世代のスター選手たちも、プロではいまひとつなんです。特に清宮には期待していましたが、今のところ輝きを放てていません。
そんな中、この世代でプロ2年目から覚醒した選手がいます。
ヤクルト 村上宗隆(熊本県:九州学院高校)
プロ4年目(2017年ドラフト1位)
通算 打率.262 91本塁打 245打点
獲得タイトル 19年新人王 20年ベストナイン・最高出塁率
清宮、中村らほど注目を浴びていませんでしたが、九州学院高校では1年生から4番を任されていた陰の実力者です。先日の東京オリンピックの決勝戦で、決勝点となるホームランを放ったのが記憶に新しいところです。
そして投手の方では、
西武ライオンズ 平良海馬(沖縄県:八重山商工高校)
プロ4年目(2017年ドラフト4位)
通算 防御率1.62 4勝2敗13セーブ60ホールド
獲得タイトル 20年新人王
今年ブレークした投手です。シーズン前半戦では1点しか取られておらず、激戦のオリンピック選手枠にも選出されました。
続いて記念すべき100回大会を迎えた2018年です。
この年は大阪桐蔭高校が春夏を連覇しました。その中で根尾昂(現中日)と、藤原恭大(現ロッテ)がドラフト1位でプロ入りし注目を集めました。
他にも柿木(現日本ハム)、横川(現巨人)と、同じチーム内で4人もドラフトで指名されました。
そんな最強大阪桐蔭の世代で、一番先にプロ野球で目立った活躍をしたのが、高校当時無名の投手でした。
巨人 戸郷翔征(宮崎県:聖心ウルスラ学園高校)
プロ3年目(2018年ドラフト6位)
通算 防御率3.20 18勝10敗
巨人のエース菅野に次ぐ先発投手として目下大活躍中です。
最後に2019年です。
この年はなんと言っても令和の怪物「大船渡高:佐々木朗希(現ロッテ)」投手です。
高校歴代最速の163キロを計測した佐々木投手は、実は一度も甲子園へ出場できませんでした。
甲子園でぶっち切りに活躍したのが、「星稜:奥川(現ヤクルト)」投手です。150キロ強の速球と鋭く曲がるスライダーで相手チームを圧倒しました。
この世代は良いピッチャーが多く、プロからも多数指名を受けました。
そんな中、この世代でいま一番活躍しているのが、高校当時はそんなに注目度は高くなかった、琉球出身の投手です。
オリックス 宮城大弥(沖縄県:興南高校)
プロ2年目(2019年ドラフト1位)
通算 防御率2.37 10勝2敗
現在首位のオリックスでダブルエースを張る山本投手、山岡投手を抑えて、チーム1の10勝をマークしています。
小柄なサウスポーですが、巧みなコントロールでバッターを抑え込んでいます。
さて、長くなりましたが、2016年〜2019年までの甲子園のスター選手と、高校時代は目立たなかったがプロ野球で早々に頭角を表した選手らをご紹介しました。
高校時代に騒がれて、そのままプロでも活躍するというのは、実はなかなか難しいことなんですね。
逆に、高校時代には目立ちませんでしたが、プロに入ってから飛躍的に伸びる選手もいるというわけです。
特に、山本由伸投手・村上宗隆選手・平良海馬投手に関しては、今回の東京オリンピックの侍ジャパンメンバーにも選出された一流の選手です。
そして、今回紹介した彼らには面白い共通点があります。
それは、皆、沖縄県、宮崎県、熊本県と、九州南部エリア出身の選手なのです。(山本投手の地元は岡山県ですが)
これ、たまたまなんでしょうけど、個人的に興味深い点だなと思いました。
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