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日本の社会保障制度は「低負担高福祉」といういびつな構造

 

こんにちは。冨田です。

日本はよく「医療天国」と言われます。
誰でもすぐに近くの病院に行けて、医療費の自己負担も3割で済みます。(75歳以上の人は1割負担)
救急車は無料で呼べるし、薬も安く手に入ります。

でも、これらの医療費は、国民の税金や社会保険料だけではまかなえず、国は毎年「赤字国債」を発行しているのです。
つまり毎年「借金」しているわけです。

現役世代の我々からしてみれば、「毎月の給料からけっこうな額の社会保険料が引かれているけど、それだけではカバーできないの?」と言いたくなりますね。

そこで今日は、そんな日本の社会保障制度が、他国に比べていかに「いびつ」な構造なのか、解説したいと思います。

 

先進国の社会保障負担の違い

まず、世界の主要先進国をざっくり分類すると、アメリカ型の「低負担低福祉」、ヨーロッパ型の「高負担高福祉」、そして日本のような「中途半端な低負担高福祉」の3タイプに分かれます。

アメリカは典型的な「自己責任型社会」です。
税負担は低いけど、病気や失業のリスクは自分自身で備える必要があります。

逆にヨーロッパ(特に北欧)は、税負担はかなり高いですが、生まれてから老後まで安心できる福祉サービスが充実しています。
これが「高負担高福祉」です。

日本はその中間のように見えますが、実は非常にアンバランスです。
税金負担はアメリカ寄りで低いのに、医療や年金などの社会保障サービスはヨーロッパ並みに充実しています。
この矛盾がじわじわと日本の財政を圧迫しているのです。

 

日本は「低負担高福祉」

日本の社会保障の仕組みはかなり恵まれています。
病院に行けば簡単に診察を受けられ、しかも自己負担は比較的低めです。
特に高齢者に対しては医療費や介護サービスが手厚く、多くの先進国が羨むほどの充実ぶりです。

ところが、問題はその財源です。

日本の消費税は10%と、ヨーロッパ各国(15~25%)に比べればかなり低いです。
また、所得税や社会保険料も比較的抑えられています。

 

そのため、「低負担」であるにもかかわらず、「高福祉」を維持するため、実は莫大な赤字を抱え、国債発行(借金)という手法でごまかしている状況なのです。

 

原因はなにか?

なぜこんな無茶な制度が成立しているのでしょうか。
それは、昭和の高度経済成長期に作られた社会保障制度が原因です。

当時は人口構造が完璧な「ピラミッド型」でした。
現役世代がたくさんいて、高齢者が少ない状態。
だから低い税負担でも、余裕を持って福祉サービスを提供できました。

しかし、今の日本の人口構造は完全に逆転しています。高齢化が進み、人口ピラミッドは逆ピラミッド型に近づいています。
それなのに、「昔と同じ低負担」を続けているわけです。

国民も政治家も「それが当然」と思い込んでいて、いまだ現実を直視することができずにいます。

 

ヨーロッパはなぜ「高負担」を受け入れているのか?

それに対して、ヨーロッパ諸国では若者も含め、社会保障の「高負担」を当然のように受け入れています。

その理由は、「連帯(Solidarity)」という考え方が社会に根付いているからです。

「今は自分が元気で健康だけど、将来的には自分も病気や失業などで支えられる立場になるかもしれない。そのときに安心できる社会があるために、今の自分が負担を引き受ける」という意識が当たり前になっています。

また、実際に受けられる恩恵が明確で、教育費や失業支援が手厚いこと。そして政府が透明かつ公平に税金を運用していることも、若者が納得する大きな理由です。

 

日本に高負担を強いるのは無理ゲー

一方、日本はそう簡単にヨーロッパ型の「連帯」を植え付けることは難しいでしょう。
そもそも日本の社会は長らく「自己責任論」や「低負担でもやれる」という成功体験に染まりきっています。

また、ポピュリズムに走りがちな政治環境では、誰も「税金を上げる」なんて言い出せません。
なぜなら、言った途端に選挙で負けてしまうからです。

国民側も負担増を嫌がり、現状維持に固執するでしょう。これでは構造改革は限りなく困難です。

 

いったんガラガラポン

では、どうすればよいのか?
実は、非常に嫌な話なのですが、「いったん財政が破綻するくらいのショック療法」がなければ、日本社会は根本的に変われないのかもしれません。

ギリギリまで国債発行を続け、ある日財政が立ち行かなくなり、IMF主導の再建プログラムが始まる――そんなシナリオしか改革のチャンスはないのかもしれません。

日本国民が自ら痛みを伴う改革を選べない以上、「ガラガラポン」を強いられるまで問題は先送りされるでしょう。
それが望ましいかどうかはともかく、日本の現状を冷静に考えると、そのような悲観的シナリオが浮かびます。

 

まとめ

ということで話をまとめると、日本はヨーロッパ並みの「高福祉」国家ですが、少子高齢化により国民の税金と社会保障負担だけではまかなえていません。

昔と比べ、あきらかに人口構造が変わっているにもかかわらず、国が借金をしてまで「高福祉」を維持しています。というか、維持せざるを得ないのです。選挙で勝つためには。

つまり、長年かけて作られたこの「いびつな社会保障の構造」は、今さら改革できないのです。そういう構造になってしまいました。残念ながら。

それではまた。

 

 

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