エンタメ化で稼ぐプロ野球(ソフト面)
こんにちは。人材開発の冨田です。
さて、前回に続き「エンタメ化で稼ぐプロ野球」の、今回は「ソフト面」でのお話をさせていただきます。
なお、ハード面は球場や施設のことで、ソフト面はコンテンツのことです。
単に球場や施設だけを一新するのではなく、コンテンツそのものを工夫することで、新たなお客さんを呼び込むことができます。
自前で「球団映像」を制作する埼玉西武ライオンズ
プロ野球のテレビ放送といえば、一昔前まではとにかく「巨人戦」でした。放映権は、1試合につき1億円というドル箱試合でした。
それが次第に視聴率が取れなくなり、地上波からBS、CSへ、そして最近ではサブスクの「DAZN」へ移行していきました。
多様化した現代において、全国民みんなが同じコンテンツに興味を持ってもらうということは難しくなりました。
個人が、好きなコンテンツを自由に視聴できる時代に突入したのです。
そんな中、ライオンズの映像責任者である元プロ野球選手の高木大成氏は、いま様々な改革を行なっています。
今までは、テレビ局に「放映権」を売って、その中継に関わるすべての手配(中継車やカメラ配置やスタッフ、アナウンサー、解説者)を委託していのですが、これを球団が自前で行うことにしました。
つまり、映像自体を球団が制作して、放映権だけでなくその「映像コンテンツ」をテレビ局へ販売するということです。
これの何が良いかというと、著作権の問題が大きいです。球団側に映像コンテンツが残るということは、それを後々自由に切り売りすることが出来ます。
スポーツニュースで使いたいという番組制作会社にも売れるし、たとえば、西武鉄道内のデジタルサイネージで広告を出したい企業に、「タイアップ」という形で試合の映像を売ることもできます。
池袋駅の巨大なデジタルサイネージも、西武鉄道内なので自由に使えます。
さらに、これを対戦相手の球団へ売ることも出来ます。
通常の映像は、ホームチームのひいき目線で作られますが、そこにカメラ配置を追加することで、対戦相手のひいき目線でカメラワークをすることも出来るのです。
このようにアレンジした映像を、対戦相手の地域のテレビ局へ売れば、その放送局は独自のアナウンサーと解説者を立てれば、ビジター側からのテレビ中継も可能になります。
メジャーの試合をNHKが国内から実況、解説しているのと同じようなフォーマットですね。
このように、自前で映像を作れば、あとから様々な売り方ができます。つまり、コンテンツの2次利用、3次利用が可能になっていくのです。
プロ野球のSNS活用による情報発信
いま世の中はSNSで情報発信する時代です。それは野球界も同様です。
最近、各球団が公式YouTubeチャンネルを持ち始めてきました。というかすでに全球団持っているんじゃないでしょうか。
さらに公式Twitterや公式Instagramもやっています。
球団の広報は、あれこれ工夫して多くのフォロワー(ファン)を集める努力をしています。
ソフトバンクは元キャスターの女性が広報を担当しています。ロッカーやベンチ裏の様子や、選手のオフショットなどを発信しています。女性なのでカメラの位置が低く、女性目線で選手を観ることが出来るのがリアルでウケています。
松田選手の声かけで有名な「試合前の円陣」の映像も、ソフトバンクが先駆けです。
ほか、千葉ロッテの広報は元サンケイスポーツの記者で、選手個人にフォーカスしてインタビューしたり、選手の魅力を引き出しています。まさに、記者さながらの映像を配信しています。
オリックスの広報は元プロ野球選手で、いつも選手の練習風景を撮影しています。チームの主砲、吉田正尚選手の打撃インパクトの瞬間をまとめた映像など、かなりマニアックなものを配信しています。
ちなみに、オリックスのチアガールはavex所属のヴォーカル&ダンスユニット「BsGirl」です。曲も発売しているアーティストです。他球団のチアと違って、ボンボンを持ちません。先日の日本シリーズでも観ましたね。
このように、いずれの球団も、今までテレビでは到底観ることができなかったきめ細かな映像を、YouTubeなどのSNSで配信することで多くのファンを獲得しています。
まとめ
さて、2回に分けてパリーグ球団における取り組みをご紹介させていただきました。もちろん、セリーグも同じように集客のための様々な取り組みをしています。
コロナ前の2019年の観客動員数は、過去最多人数を更新していました。球場に足を運んでくれるお客さんは、いまものすごい勢いで増えています。
令和の時代のプロ野球は、スタジアムに遊びに来てもらうための工夫と努力が欠かせません。
単に野球そのものを観戦するだけじゃなく、エンタメ要素を取り入れて、レジャー施設同様に子供も女性も楽しめるようにすることがとても重要です。
ソフトバンクや日本ハムは、野球場単体のビジネスではなく、その地域周辺の「街づくり」を目指しています。
出来ることなら、プロ野球もあと4〜6球団くらい増やして、全国各地で地域おこしのように盛り上げていければ最高なんですけどね。
それではまた。
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