プロセスエコノミーという考え方

こんにちは。人材開発の冨田です。

今日は、「プロセスエコノミー」という考え方について解説いたします。

まず、現代社会においては、生きていくために必要なものはすべて揃っていますよね。そして、どれもこれもクオリティが高い。

たとえば飲食店。いまの時代に営業できているお店は、どこに入っても美味しいです。コロナで潰れたお店もありますが、逆を言えば、生き残ったお店はさらにクオリティが高いと言えます。

コンビニのお弁当や惣菜、冷凍食品も軒並みクオリティが高いです。棚に並ぶ商品は、激しい競争の末に勝ち残った商品なので、相当レベルが高い商品群です。

日用品や生活雑貨もしかり。いまや100円均一の商品でも相当クオリティが高いです。食卓には、箸やグラスや茶碗など、何年も使える100円商品が並んでいるのではないでしょうか。

つまり、いま世の中にリリースされている商品群は、外れがなく、ある程度の品質が担保されたプロダクトで溢れかえっているということです。

逆に言うと、そのプロダクトを提供する側は、差別化が難しく、とても競争が激しい市場である、と言えます。

そんな中、これからは「プロセスエコノミー」という概念を用いて、商品を売るということが注目されています。

プロセスエコノミーとは、読んで字の如く「過程」を売ることです。あるいは、「過程」や「想い」に共感してもらうことです。

どういうことか。

たとえば、映画制作の場合、どんなにお金をかけて作っても、どんなに安く作っても、映画館のチケット代は「一律」です。であれば、その他でマネタイズする必要があります。

映画の公開後に制作過程（ドキュメント）を公開して、それ自体をマネタイズする。あるいは、公開前に制作過程を少しずつ見せて、クラウドファンディングなどで、公開前にファンを作り資金調達をする。

そうすれば、その「プロセス」を知っている人たちは応援してくれます。自らのSNSで拡散してくれます。

完成品だけで勝負する「アウトプットエコノミー」ではなく、制作過程を伝える「プロセスエコノミー」の方が「想い」が伝わるので、ファンがつきやすくなるのです。

ところで、経営コンサルタントの山口周さんが言い表した言葉で、「役に立つ」より「意味がある」の方が価値がある、というのがあります。

これはどういう意味かというと、たとえば、コンビニでハサミやホチキスなどの文房具を買おうとすると、ほとんど一種類しか置いていませんよね。その一方で、タバコは200種類も取り揃えられています。

これは何故なのかというと、タバコは「役に立たない」が「意味がある」からです。

つまり、愛煙家はそれぞれの「銘柄」を愛飲しているので、どんな銘柄でも良いというわけではありません。一方で、ハサミのメーカーにこだわる人は、ほとんどいませんよね。

もうひとつの例でいうと、自動車があります。

機能面で優れている日本車は「役に立つ」自動車です。一方で、ランボルギーニは機能面では「役に立たない」が「意味がある」自動車です。価格も10倍くらいするのに、なぜ機能的に役立たない車に価値があるのでしょうか。

それは、そこにストーリーがある（意味がある）からです。つまり、役に立たなくても、「意味がある」から市場価値が高いということです。

この話は、現代人の価値観の変化を端的に示しています。

「役に立つ」より「意味がある」の方が価値があるから、その「意味」を伝えていく「プロセス」が重要な役割を果たすのです。

そして、そのプロセスに価値を乗せるには、作り手がそこにストーリーを込めたり、なぜやるか（Why）という哲学を示すことが重要です。

その「想い」が「共感」を生み、ファンが増え、そのファンがセカンドクリエイターとなり、どんどん熱量を上げていきます。

ファンが作るコミニュティが活発になっていけば、ファン一人一人が「新しい物語」を生み出し、さらに熱量が上がり、新しい人をひきつけます。

こんな好循環が生まれれば、それはもう「ブランド」と言えるでしょう。

ということで、今日は「プロセスエコノミー」の概念を解説いたしました。

あなたの「物語」にも、「価値」を乗せてみてはいかがでしょうか。

それではまた。

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