1月 12 2023

中国による台湾有事はあり得るのか

こんにちは。冨田です。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、中国による台湾への侵攻も、ここ数年のうちにあり得るのではないかと言われています。

その際、日本も巻き込まれるのではないか、はたしてアメリカは助けてくれるのかなど、大半の人は不安に感じていると思います。

それでは実際どうなのか。ファクトやデータをもとにその可能性を紐解いてみたいと思います。

マスコミでは、「近い将来中国は台湾に攻め込んで軍事占領し、武力による台湾統一を果たすに違いない」と報じています。しかし、科学的、合理的に考えれば、武力行使、とりわけ「上陸作戦」はあり得ないことが分かります。

まず、軍事の常識に「攻める側は守る側の3倍以上の兵力が必要」というのがあります。さらに、陸続きではなく「島国」に海から上陸するとなると、その数はさらに必要となります。

第二次世界大戦中の「硫黄島の戦い」や「ノルマンディー上陸作戦」では、攻める側の兵力は5倍に達していました。

また、どんな場所からでも上陸できるわけではなく、台湾でいえば、すべての海岸線のうち上陸に適した場所は10%ほどで、14か所しかありません。

台湾としては、この限られた「上陸適地」に部隊を集中でき、ミサイルの標的にもしやすいのです。つまり、上陸作戦は物理的に考えて不可能に近いということです。

だとすれば、中国は空からの「ミサイル攻撃」しか武力行使ができません。しかし、これを行使すると、アメリカとの全面戦争を招くリスクが大きすぎて、中国が採用するとは思えません。

1962年、ソ連がアメリカの喉元であるキューバに核ミサイル基地を建設して始まった「キューバ危機」ですが、当時の米国ケネディ大統領がキューバに対する「海上封鎖」を通告し、核ミサイルの即時撤去を要求しました。

その要求をソ連が拒否したことで、アメリカは海上封鎖に踏み切り、米ソの緊張は衝突寸前まで高まりました。

結局、ソ連が引き、世界大戦は回避されたという歴史があります。

中国がアメリカと同じように、台湾の海上封鎖をしたらどうなるか。

台湾本島へ出入する船舶を封鎖線で臨検（停止させ強制的に立ち入り検査などをする）し、出る船を出さず、入る船を入れないようにするとどうなるか。

その結果、台湾側が突破を断念したり、逆に、アメリカや日本の圧力で中国側が封鎖線を解いたりすれば、軍事衝突は回避されます。

ところが、臨検現場で小競り合いなどが起こると、一気に軍事衝突に発展していく危険性があります。そうなれば、沖縄も飛び火を受ける可能性が出てきます。

武力で無理やり取り込むことはできなくても、台湾統一は中国の、いや習近平国家主席の悲願なので、必ずや何かしらの行動を起こすでしょう。

そして、現実的な手法として「ハイブリッド戦法」を繰り広げていくでしょう。これは何かというと、軍事力の行使も含め、政治、経済、宗教、心理、文化、思想など、社会を構成するすべての要素を「兵器化する」ということです。つまり「何でもあり」の戦法です。

味方の戦闘意欲を掻き立て、敵の戦闘意欲を殺ぐ国内外の世論づくりのため、新聞・雑誌・出版・ラジオ・テレビ・インターネットなど、多くのメディアが駆使されます。

2014年のロシアによるクリミア併合の例でいうと、所属不明の武装集団が、士気の低いウクライナ軍を駆逐し、ロシア寄りの住民の支持のもと、ロシアへの併合が「無血で」行われました。

このように、中国も台湾の「民心」を中国寄りにするため、あらゆる手段を行使すると想定しておかなくてはいけません。

日本のお隣中国ですが、習近平政権が盤石となり、いよいよ動き出すのではないか。同じくお隣ロシアも実際にウクライナに侵攻したわけで。そして、北朝鮮のミサイル開発も進んでいます。

いま共産主義国家により、日本は戦後かつてないほどの脅威に晒されています。軍事費も今よりも2倍にしていくと岸田首相が発表しました。

さてどうなるのか。そして日本は、今後もアメリカの力を借りて防衛をし続けるのか。次回は日米関係について解説したいと思います。

それではまた。

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