
ふるさと納税の理想と現実
こんにちは。冨田です。
皆さん「ふるさと納税」は利用していますか?
ふるさと納税は、いまやAmazonや楽天市場など、身近なECサイトから気軽に買えるようになりましたね。
各地の水産品、農産品、そしてお酒など、魅力的な商品がずらりと並んでいます。
まさによりどりみどり、選ぶのが楽しくなっちゃいますね。
でもこれって、よくよく考えたら、何だか変じゃないですか?
そもそも、ふるさと納税は自治体に寄付(=納税)をする制度のはずです。
自分が住んでいる自治体に自動的に住民税を支払うのではなく、「自分が選んだ自治体」に納税(=寄付)できるというところが魅力の制度のはずです。
ですが、ふるさと納税はいまや「返礼品」ありきの制度となっています。
つまり、みんな「返礼品」目当てにふるさと納税を利用しているのです。
そして、自治体同士が魅力的な「返礼品」の出品で競い合っている状態です。
これは正直言って、本来の「ふるさと納税」の趣旨とはズレていると思います。
そこで今日は、ふるさと納税における「理想」と「現実」について考えていきたいと思います。
もはや市場規模は「1兆円超え」
まずは、私たちがよく知るふるさと納税の「現実」から見ていきましょう。
ぶっちゃけ、多くの人がふるさと納税をやる一番の理由って、「お得だから」じゃないですか?
実質2,000円の自己負担で、数万円分の豪華な返礼品がもらえる。こんなにお得な制度、使わない手はないですよね。
その人気は数字にも表れていて、総務省が発表した2024年度の寄付額は計「1兆2727億円」と、とんでもない巨大市場になっているんです。
この爆発的な成長の原動力になったのが、「返礼品競争」です。
自治体同士が「うちの町にはこんなに魅力的な特産品があるぞ!」と競い合うことで、私たちは全国各地の素晴らしい商品をゲットできるようになりました。
このおかげで、結果的に、都会に集中しがちな税金が地方に流れ、地域経済が潤ったのは紛れもない事実です。これはふるさと納税の大きな「功績」と言えるでしょう。
でも、その一方で、「応援したい自治体に寄付する」という本来の理念が薄れてきているのも事実です。
ふるさと納税の「理想」のカタチ
それでは、ふるさと納税は、「単にお得な買い物ができる制度」となってしまったのでしょうか?
実は、そういうわけでもありません。
ちゃんと本来の理念を反映した寄付(=納税) もあります。
それが「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」です。
これは何かというと、
「自治体が抱える課題解決のプロジェクトに、共感や応援の気持ちで寄付する仕組み」
のことです。
通常のふるさと納税が「モノ(返礼品)」を選ぶのに対して、GCFは「コト(使い道)」を選んで寄付をするイメージです。
たとえばこんなプロジェクトがあります。
災害からの復興:「地震で崩れた熊本城の石垣を、みんなの力で修復したい!」
子育て支援:「放課後の子どもたちが安心して過ごせる『子ども食堂』を運営したい!」
動物保護:「殺処分される犬や猫をゼロに。新しい家族を見つけるための保護施設を作りたい!」
文化財の保護:「歴史あるお祭りを未来に残すため、老朽化した山車の修繕費用を集めたい!」
いかがでしょうか?
なんだか胸が熱くなりませんか?
自分の寄付が、ただ単に自治体の予算になるのではなく、「熊本城のあの石垣になったんだ」「あの子どもたちの笑顔につながったんだ」と具体的にイメージができます。
これって、すごく「社会的意義」があることだと思いませんか?
なぜGCFはもっと普及しないのか?
そんなに素晴らしい仕組みなら、なんで返礼品の話ばかりで、GCFはあまり話題にならないのか。
そう思われたかもしれません。
ただ、理想通りにいかないのが「現実の社会」です。
ふるさと納税の「理想と現実」の間には、「3つの理由」があると思います。
理由①:「お得感」という最強コンテンツ
ぶっちゃけ、これが一番大きいと思います。
「2,000円で高級和牛がもらえる」という魅力と、「地域の未来に投資する」という高尚な目的では、多くの人にとって、前者が魅力的に映るのは自然なことです。
まずは自分の生活、それが本音ですよね。
理由②:ニュースになりにくい?
メディアが取り上げやすいのは、やはり「返礼品競争、過熱!」みたいなインパクトのある話題です。
一方で、GCFの成功物語は「いい話」ではあるけれど、全国ニュースになるほどのインパクトは出しにくいのだと思います。
理由③:選ぶのには少しエネルギーが必要
「返礼品」を選ぶのは、ネットショッピングに近い感覚でサクサクできます。
でも「GCF」は、プロジェクトのページを読んで、背景を理解して、「よし、応援しよう!」と決めるまでに、少しだけ時間と心のエネルギーが必要になります。
忙しい毎日の中で、その一手間がハードルになっている部分もあるかもしれません。
このような理由から、「GCF」は多くの人に普及していかないのだと思います。
まとめ
では、いっそのこと、制度の趣旨に立ち返って「返礼品は全部禁止!ふるさと納税はGCFをメインにします!」としたら、どうなるでしょうか?
おそらく、いや、かなりの確率で、寄付金の総額は今の何十分の一か、何百分の一にまで激減してしまうでしょう。
「お得感」という強力なエンジンを失ったふるさと納税は、参加者が一気に離れてしまい、地方に流れていたはずの莫大なお金がストップしてしまうでしょう。
「理想」を追い求めることで、制度自体の存続もあやしくなります。
つまり、大衆を動かすには、「理想論」ではなく、「目の前の利益」なんですね。悲しいかな、これが「現実」です。
それではまた。
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