伝説の経営者「折口雅博」(後編)
こんにちは。人材開発の冨田です。
前編に続きまして、後編をお届けします。
クリスタルは非上場のオーナー独裁会社ですが、グループ子会社は70社以上もあり、売上はなんと5千数百億円もありました。
当時、人材会社売上No.1を誇っていた会社です。リクルートよりも大きかったのです。
グッドウィルは、自社の売上の3倍近くある会社をM&Aするという離れ業を成し遂げようとしたのです。
クリスタルのオーナーは高齢で健康不安から会社をバイアウトしたいと思っていて、そこで、1週間で880億円を用意できる会社があるなら売ると言ったそうです。
そこで折口氏は、太いパイプを持っていた都市銀行から莫大な資金調達をし、剛腕でM&Aを実現させたということです。
後日談ですが、クリスタルのオーナーはかねてから同業には売りたくないと言っていたらしいのですが、間にファンドを挟んだ事でグッドウィルがバックにいる事を知られなかったようです。
そして鮮やかな買収劇で、グッドウィルグループは売上7700億円の人材業界No.1の企業となりました。
そんな天下もつかの間、クリスタル買収から1年足らずでグッドウィルグループ崩壊の足音が聞こえてくることになります。
まずはコムスンのバッシングからです。
発端は、何箇所かの施設で「過誤請求」、つまり間違った点数で国に請求してしまう事務上のミスがありました。
これがマスコミでは「不正請求」という言葉になり、まるで意図的にやっているようなイメージを植え付けられました。
そして大きな変化点として、介護保険法の改正が行われていた事です。介護施設が一箇所でも問題を起こした場合には、同会社の「全拠点が連座責任を負う」という内容です。
この法改正の検討チームには民間企業の人間が一人も居ませんでした。つまりコムスンを狙い撃ちしたような法改正とも言えます。
全国2000拠点あったコムスンの施設は、5年間営業停止という、文字通り死刑宣告を受けました。
一方、マスコミからはネガティブキャンペーンを貼られ、世論からも大きな批判を浴びました。
さらに追い討ちをかけられたのが、グッドウィル本体の「二重派遣問題」です。
これはどういう事かというと、派遣先が受け入れた派遣社員をさらに別の会社へ派遣するという違法行為です。
でも、これに関しては派遣元としては見えない部分ですので、なかなか防ぎようがありません。多かれ少なかれ、どの日雇い派遣会社も起きていたことです。
ここをマスコミがついてきて、世論から猛烈にバッシングを浴びることになりました。
そして最後の結末としては、バッシングによる「株価急落」によって、大株主の都市銀行がグッドウィルの債権をアメリカのファンドに売ってしまいました。
つまり折口氏は、実質的にグッドウィルグループの経営権を奪われることになりました。
これで折口氏の伝説は一時幕を閉じることになりました。
日本に居られなくなった折口氏は、その後ニューヨークに渡り、グッドウィルの時に作った高級和食レストラン「MEGU」の雇われ経営者になり、そこから復活を遂げることなります。
余談ですが、MEGUの2号店がトランプタワー内に出店する際(2005年当時)にドナルド・トランプ氏と会っています。
超セレブたちが利用する「MEGU」は有名になり、主要国へフランチャイズ展開することになります。そして最高位の「シックススターダイヤモンド」という賞を受賞しました。
最終的に、世界で成功したその「MEGU」を高値でバイアウトしました。
今現在は、日本の中小企業、スタートアップの経営者に対して経営コンサルティングを行なっています。
折口氏の数々の経験をもとに、若手経営者に助言、アドバイスを惜しみなく行なっているそうです。
さて、長くなりましたが、折口雅博ヒストリーをご紹介させていただきました。
私はこの本を通して折口さんという人がよく分かりました。
彼は一流の経営者であり、イノベーターであり、そして人格者です。
当時のバッシング報道がされた時期はマスコミに悪のイメージ付けがされたのですが、間違いなく彼は本物であり、伝説を残した日本を代表する経営者です。
でも、日本では目立ちすぎると引きずり下ろされるんだなあとつくづく感じますね。
何か大きな力に、半ば強制的に。
そういう意味ではホリエモンと同じですね。
興味がある方は一読してみてはいかがでしょうか。
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