入浴剤
こんにちは。広報チームの佐藤です。
家に居る時間が多くなり、普段より体が鈍っていてるので、血流をよくする為に家で出来る事は何かと考えまして…
手軽に出来る事が入浴剤だ!と思い、気に入った香りで凝りほぐし効果のある入浴剤を、選んで試す事を日々の楽しみの1つにしてみました。
そんな訳で、今回は入浴剤のお話をしたいと思います。
【入浴剤の種類】
無機塩類系→無機塩類系の入浴剤は最も一般的な入浴剤と言えます。
市販される入浴剤のほとんどが無機塩類系になります。
お馴染みの「バスクリン」「バスロマン」「バブ」などもこの分類になります。
無機塩類、何やら難しい言葉ですが、簡単に言うと「ミネラル」です。(厳密には異なります)
具体的には「硫酸ナトリウム」と「炭酸水素ナトリウム」が主として使われ、他には、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムなどが求められる効能に応じて調合されます。
入浴剤の成分の欄にこれらの成分が主成分として書かれていれば、その入浴剤は無機塩類系入浴剤と言えるでしょう。
【温泉と入浴剤の成分】
温泉の成分を入浴剤で再現するにはどうしたらよいでしょうか。
例えば、
- ナトリウムイオン
- 硫酸イオン
- 炭酸水素イオン
を主成分をする温泉があったとします。
それを入浴剤で再現するには
- 硫酸ナトリウム
- 炭酸水素ナトリウム
を配合すると実際の温泉に近い成分になります。
しかし、温泉の性質は無機塩類の他にも、さまざまな要因で決まります。
色や香りは上記の無機塩類では再現できません。
そこで、入浴剤に香料や着色料を配合します。
その他には、例えば、湯を白濁させ滑らかにさせる為には「酸化チタン」などを配合します。
このようにしして、求める温泉の特徴に近づけたら入浴剤の完成です。
しかし、実際の温泉の成分には多量の塩や硫黄など、風呂釜を痛める原因となる成分が多く含まれ、家庭で再現できる温泉には限度があります。
その為、一般的に市販されている入浴剤は、温泉地の特徴を再現するのではなく、効能や香りや浴感の良さを追求するのが一般的です。
温泉地の名前を謳った入浴剤をよく目にしますが、それらは雰囲気作りの意味合いが強く、決して温泉地の成分を再現したものではない場合がほとんどです。
ここまで聞くと「入浴剤なんて全部同じ」と思うかもしれません。
しかし、昨今の入浴剤は実に多様で、メーカーにより効能、香り、色に多様な特徴を持ち、単に入浴剤と言えども侮れません。
【無機塩類系入浴剤の効能】
それでは、無機塩類系の入浴剤の効能について掘り下げていきます。
基本的には「よく温まる」というのが大きく、その他は一般適応症の神経痛、筋肉痛、関節痛、打ち身、慢性消化器病、痔疾、冷え性、疲労回復などに効果があります。
さらに、配合される成分によって別の効能が加わります。
下記は一例ですが、
◇硫酸ナトリウムを含む入浴剤の効能
温泉の泉質名で表すところの「ナトリウム―硫酸塩泉(旧泉質名:芒硝泉)」に近い効能があり、血管を拡張することで高血圧に効果があります。
◇炭酸水素ナトリウムを含む入浴剤の効能
温泉の泉質名で表すところの「ナトリウム―炭酸水素泉(旧泉質名:重曹泉」)に近い効能があり、皮膚の表面を柔らかくし、脂肪や分泌物を乳化し洗い流す事で肌を綺麗にします。
「硫酸ナトリウム」と「炭酸水素ナトリウム」は肌への刺激が弱く、風呂釜を痛めない事から大抵の無機塩類の入浴剤に主成分として配合されています。
(例、バスクリン、バスロマンなど)
クール系→冷感を感じる「メントール」が配合されている入浴剤ががほとんどですが、メントール入りの湯船に浸かると、ハッカやミントを食べたときに口の中がスーッと冷たくなる感覚が、体全体に起こります。
炭酸ガス系→炭酸ガスの入浴剤も無機塩類系入浴剤に分類されますが、上記の無機塩類系とは主成分が異なります。
炭酸ガス入浴剤の代表的な商品は花王のバブで、知っての通り、湯船に入浴剤を入れるとブクブク泡が発生するのが特徴です。主成分は「炭酸水素ナトリウム」「炭酸ナトリウム」「炭酸カルシウム」などの炭酸塩で成形されています。
発泡のメカニズムとしては、これらの炭酸塩に、「フマル酸」「コハク酸」「クエン酸」などの有機塩を組み合わせ反応させる事で炭酸ガスを発生させています。
◇炭酸ガス系の入浴剤の効能
炭酸ガス系の入浴剤は、温泉の泉質名で表すところの「二酸化炭素泉(旧泉質名:炭酸泉)」に近い効能があり、炭酸ガスが毛細血管を拡張させる事で血行を促進し、
温浴効果と高血圧に効きます。
スキンケア系→(セラミド、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、植物エキス、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもので、剤型的には液体、粉末、錠剤が多い)
このタイプは、保湿成分が入浴中に皮膚に吸着浸透し、スキンケアを行うものです。
特に冬の乾燥時は、入浴後過度に角層中の水分が失われ、お肌のかさつきが起こりやすくなっており、入浴剤によるスキンケアが重要となります。
また入浴で膨潤したお肌は、浸透し易い状態になっているため、保湿成分が肌の表面に吸着するだけではなく、角層内部にまで浸透していきます。
その結果、入浴後はお肌がしっとり、すべすべになります。
酵素系→(蛋白質分解酵素、パパイン、パンクレアチン等の酵素を配合したもので、無機塩類と組み合わせて使うことが多い)
酵素は医薬品の消化剤や洗浄剤等によく利用されますが、人間はもちろん、微生物や植物などの生物の体の中で作られ、蛋白質や脂肪、澱粉等を分解して消化や洗浄を助ける効果をもっています。入浴剤に酵素を配合する目的は、皮膚に無理な刺激を与えず、清浄にすることで入浴効果を高めることがあります。
生薬系→(センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカ葉等の生薬を配合しており、生薬をそのまま刻んだもの、生薬のエキスを取り出して他の成分と組み合せたもの等種類は色々)
このタイプの効果は生薬の種類によって異なりますが、生薬に含まれている成分の働きと、独特な香りの働きからなりたっています。生薬はそれぞれ長い歴史の中から生まれ、その効果は医療薬として、日本ばかりでなく欧米でも高く評価されています。またお茶の水女子大学と日本浴用剤工業会の共同研究によりトウキ、トウガラシ、ウイキョウ、センキュウ、チンピ、ショウキョウには、血行促進効果が認められております。そのメカニズムについて最近盛んに研究がなされ、徐々に解明されつつあります。
もう1つの効果『香り』については、生薬に限らず”アロマテラピー(芳香療法)”が注目され、研究の対象となっています。香りによるリラックス効果は脳波や自律神経等の測定により解明されてきています。
このように、入浴剤にも沢山の種類がありますね。温泉に行くのが一番と思いますが、外出自粛の今だからこそ、ささやかな楽しみの一つとして、お気に入りの入浴剤を見付けては、いかがでしょうか。
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