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成熟した社会のルール化と生きづらさ

 

こんにちは。人材開発の冨田です。

長かったコロナ禍も収束に向かいつつありますね。海外から入国された人の隔離期間も、じきに撤廃されることでしょう。そうなると、また日本への外国人観光客が増えていきそうですね。

コロナ前の2019年には、年間3000万人もの訪日外国人がいました。また、「コロナ後に行きたい国ランキング」というのがあり、日本は堂々の1位です。その理由として、日本には、安くて美味しいお店がたくさんあり、きれいな街並みがあり、治安もよいため、人気なのだと言われています。

そんな日本ですが、世界の中では「先進国」に位置づけられています。日本は、生活保護制度により、最低限の生活は保障されているので、食べられずに飢え死にするなんてこともありません。他の先進国や新興国では考えられないくらい治安も安定しています。


そして、そんな成熟した先進国にもなると、社会のルールも変わっていきます。


近年、ジェンダー発言、つまり「男女の性差別」的な発言に対して世論が厳しくないですか。

たとえば、「ビジネスマン」という言い方も、「ビジネスパーソン」と言い換えますし、主婦も(主夫)と付け加えたりします。

あるいは、女子学生の制服なんかも、スカートだけではなく、スラックスを履けたりします。

「男らしさ」や「女らしさ」という言葉さえ、言っちゃいけない雰囲気があります。

ダイバーシティ、つまり、人々の多様性を受け入れようという社会になると、発してはいけない「NGワード」が増えていくように思います。多様性を受け入れようとしているのに、表現の自由が奪われるというのも、なんだか矛盾しているように感じます。


テレビの世界においても、無難に無難に番組を作ろうとしています。もちろん、スポンサー企業の広告費で成り立っているテレビですから、視聴者から批判されるような番組では、スポンサーはつきません。

でも、昔のテレビは無茶苦茶やってましたよね。テリー伊藤プロデュースの「風雲たけし城」や「ドッキリ番組」なんかは、死人が出てもおかしくないくらいハチャメチャな事をやっていました。


そして、テレビCMやマス広告においても、批判を恐れるあまり、ありきたりな広告にしかなりません。

ちなみに、この広告をご存知でしょうか?

これは、品川駅のコンコースにあるデジタルサイネージでの広告です。

朝の出勤時間帯に表示したところ、「大炎上」しました。なんか、嫌味に聞こえたみたいです。

「楽しいわけねーだろ」「嫌味言ってんじゃねーよ」

みたいな声がSMS上にたくさんあがりました。そして、広告主はすぐに広告を取り下げました。


近年、インターネットとSNSの登場で、一個人の情報発信がしやすくなり、その声が拡散して、世の中を騒がすくらい大きな渦になることがあります。

昔みたいに、企業やテレビの一方的な情報発信の時代ではなくなったので、視聴者の反応を意識せざるを得ません。

つまり、視聴者の反応を意識しすぎるがあまり、企業やテレビは、尖った広告や番組が作りづらくなったのだと思います。


もっと言うと、SNSにより、個人レベルでも生きづらくなったように思います。

それはなぜかというと、誰でも覗き見できるSNSがあるおかげで、他人の「リア充生活」を目の当たりにしてしまうからです。それを見る非リア充たちは、自分の何の変哲もない生活が嫌になってしまうのです。

ですが、そもそもSNSなんて、自分のキラキラしているところだけを切り取ってアップするツールなので、そんなの見なきゃよいのに、ついつい覗いてしまうのですね。


人は、他人と比べてしまう癖があり、「相対的に」幸せを感じる習性があります。なので、インフルエンサーや友人の「リア充」生活を見てしまうと、相対的に自分が不幸せのように感じてしまいます。

よくよく考えてみてください。本来は、安全で、食べていくには困らず、毎日平和に暮らせている日本人は、それだけで幸せなはずです。ですが、先進国であるがゆえに、何かにつけ他人と比べてしまい、自分で勝手に閉塞感を感じてしまうのですね。


日本のように成熟した先進国は、タブーなルールが増えていき、同調圧力が巨大になり、そして勝手に生きづらさを感じてしまう。

そんなふうに感じる今日この頃です。

 

 

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