
「ミルクボーイの漫才」と「嫌われる勇気」の共通点
こんにちは。冨田です。
「嫌われる勇気」という本をご存知でしょうか。
2013年に発行されて、いまだ毎年のようにベストセラーを記録し続けているメガヒット〝自己啓発本”です。
この本は海外でもすごく売れていて、世界で累計1350万部を突破しました。(とくに中国や韓国で人気のようです)
内容は、「アドラー心理学」を解説したものですが、その「思想」自体もさることながら、「対話形式」で展開していくストーリーが多くの人にウケたのではないでしょうか。
そしてこの「対話形式」は、人気お笑い芸人「ミルクボーイ」の漫才のフォーマットにものすごく似ていることに気が付きました。
そこで今日は、「ミルクボーイの漫才」と、ベストセラー本「嫌われる勇気」の対話に隠された類似性と、それがもたらす「面白さ」や「分かりやすさ」の構造を考察していきたいと思います。
ミルクボーイの漫才:反復と展開が生む笑い
ミルクボーイの漫才は、二人で「ああでもない、こうでもない」という反復の掛け合いが面白く、どんどん引き込まれていきます。
その流れは以下です。
【テーマの提示】
まず駒場さんが、お母様から聞いたとされる「曖昧な情報」を提示します。
たとえば、「好きな朝ごはんがあるらしい」といった具合に。
【内海さんの推測と揺さぶり】
これに対し内海さんが、「その特徴はコーンフレークではないか」と一旦特定しつつも、「しかしコーンフレークにはこういう特徴もある」「その情報だけでは別のものの可能性もある」と、肯定と否定、あるいは別の可能性を提示しながら話を揺さぶっていきます。
【情報の追加と展開の繰り返し】
駒場さんがさらに断片的な情報を加えると、内海さんがそれを受けて再び推測し、時には鋭いツッコミや意外な視点を加えます。
この「情報提示→推測と揺さぶり」というリズミカルな繰り返しが、観客の興味を引きつけ笑いを誘います。
【印象的な結論】
最終的に特定の結論に至ることもあれば、曖昧なまま終わることもありますが、その「プロセス全体」がエンターテイメントとして成立しています。
そして何より、観客は笑いながらも、そのテーマとなったものの特徴を多角的に、深く印象付けられるのです。
この漫才の面白さは、単に情報を並べるのではなく、「肯定」と「否定」を巧みに繰り返すことにあります。
テーマの輪郭を徐々に明確にし、同時に観客の予想を心地よく裏切る点も魅力の一つです。
「嫌われる勇気」:対話が深める哲学の理解
一方、アドラー心理学を解説した「嫌われる勇気」もまた、特徴的な「対話形式」で構成されています。
【青年の問題提起】
物語は、アドラー心理学の教えに懐疑的な「青年」が、「哲人」に対して自身の悩みや既存の価値観に基づいた疑問、時には強い反論をぶつけるところから始まります。
この青年の姿勢は、多くの読者が抱くであろう「問いや感情」を代弁しています。
【哲人の応答と解説】
哲人は、青年の言葉を冷静に受け止め、アドラー心理学の観点から丁寧に、そして具体例を交えながら答えていきます。
頭ごなしに否定するのではなく、青年の主張を一度受け入れた上で、異なる視点や考え方を示唆していきます。
【対話による理解の深化】
青年のさらなる問いや反発と、それに対する哲人の応答が繰り返されることで、議論はどんどん深まっていきます。
このプロセスを通じて、青年は徐々に哲人の言葉に耳を傾け、アドラー心理学の教えを理解していきます。
読者もまた、青年と共に難解に思える哲学の概念を徐々に紐解いていく体験をします。
「嫌われる勇気」は、哲人が一方的に教えを説くのではなく、青年の「否定」や「疑問」を出発点とすることで、読者は青年に感情移入しやすくなり、哲人の言葉がより具体的に、自分自身の問題として捉えやすくなるのです。
両者に共通する「対話の力」
「ミルクボーイの漫才」と「嫌われる勇気」。
一方は笑いを追求するエンターテイメントであり、もう一方は哲学的な思索を促す書籍ですが、両者には「対話を通じてテーマを多角的に掘り下げ、受け手に深い理解と興味をもたらす」という共通点があります。
【否定と肯定の自然な繰り返し】
一方的な情報提供ではなく、「異なる意見や疑問」が提示されることで、テーマに対する多角的な視点が生まれます。
「ミルクボーイ」の場合はこれが笑いを生み出します。
「嫌われる勇気」の場合は、これが深い納得感と理解へとつながります。
【共感と感情移入の促進】
受け手は、漫才のやり取りや、青年と哲人の対話に、自身の感情や考えを重ね合わせやすくなります。
この感情の動きが、興味関心を高め、深く記憶されるのです。
【リズミカルな展開による引き込み】
どちらも、問いと応答が「リズミカル」に繰り返されることで、受け手は飽きることなく、自然と内容に引き込まれていきます。
このように、二人の人物が互いに言葉を交わし、時に「肯定」し、時に「否定」し合いながら話を進めていく形式(フォーマット)は、内容の理解が深まるだけでなく、受け手の心を掴む上でとても有効な手法です。
まとめ
「ミルクボーイの漫才」と「嫌われる勇気」は、まったくジャンルは違いますが、見る人を引き込むとても強力な「フォーマット」を持っています。
このフォーマットは、相手の関心を引きつけ、どんどん引き込まれていく不思議な力を持っています。
私たちの仕事やプライベートにおいて、この「フォーマット」が何かに生かせることはないか、考えてみてください。
それではまた。
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