このまま最低賃金を上げ続けるとどうなるのか？

こんにちは。冨田です。

今年も最低賃金が大幅に上げられるようです。
現在の最低賃金の全国平均は時給1004円ですが、10月より「5％UP」の時給1054円に引き上げられます。

さてここで、2002年から2023年までの最低賃金の推移を見てみましょう。

すごい伸び率ですよね。20年間で「1.5倍」になっています。

30年間平均給与が上がっていない日本において、最低賃金と新卒の初任給だけが爆上がり状態です。

ちなみに、岸田首相は2030年代半ばまでに、最低賃金を全国で時給「1500円」に引き上げる目標を掲げていて、党内ではもっと前倒しした方がよいという声もあるほどです。

最低賃金1500円って・・そりゃ日本全体の賃金が上がっていればあり得るけど、今の状態で最低賃金だけ上がっていくのは、なんだか違和感ありますね。

ということで今日は、最低賃金が今後上がり続けると、日本社会はどんな風に変わっていくのか考察してみました。

日本企業の生産性を上げるため

日本政府が毎年どんどん最低賃金を上げているのは、日本企業の生産性を上げるためではないでしょうか。

どういうことか。

最低賃金を上げ続けることで、単純作業に従事する人たちの人件費は上がり続けます。そうなると、いよいよ設備投資して自動化した方が、人件費よりも安くつくよね、という考えになります。

つまり、単純にコスト面を比べて、人間にやってもらうよりも、機械を買って自動化してしまった方がよいということになります。

ですが、機械や設備を買うのには相当な初期投資がかかります。なので、今まではそこに投資するよりも、人間にやってもらった方が安かったわけですが、最低賃金が爆上がりするとなれば、話は変わってきます。

しかし、すべての企業が同様に設備投資を行えるわけではありません。

中小・零細企業は、新しく設備投資できるだけの資金力はないし、借り入れするにしても、銀行もなかなか貸してくれません。そうなれば、最低賃金が上がった分だけコストアップにつながり、競争力が無くなり、倒産する企業も出てくるでしょう。

セーフティネットが必要

一方で、最低賃金で働く人たちは、誰でもできる単純作業に従事している人たちとも言えます。

誰でもできる単純作業は、いっそのこと機械にやらせて、人間はもう少し付加価値の高い仕事をすれば良いですよね。そうすれば、イヤイヤやっていた単純作業から解放され、もっと違う仕事をすることができます。それが実現するなら、最低賃金をどんどん上げてしまえば良いのではないでしょうか。

でも実情は、そう単純な問題ではありません。

日本人に限らずですが、誰でもできる単純作業しかできない人たちは「一定数」いるのも事実です。その人たちが機械化により職を失うと、現実的には生活保護を受けることになるでしょう。

つまり、企業の生産性を追求していくと、同時に、その裏では職を失う人がいるという事も、理解しておかなくてはいけません。

企業の機械化が進み、単純労働者が必要無くなると、政府としては、生活保護やベーシックインカムなどのセーフティネットを用意しておく必要があります。

おもてなしの弊害

日本の製造企業は、日々カイゼンを繰り返し、ムダを極限まで減らしているので、労働生産性は世界と比べても高いとされています。

しかし一方で、日本のサービス業の労働生産性は世界的には下位の方です。なぜなら、日本特有の「おもてなし」の精神から、接客やサービスがとても丁寧だからです。

諸外国のように塩対応をすることは一切なく、お客様一人一人に時間をかけて接客しているからこそ、労働生産性が低くなるのです。

チップを貰えるわけでもないのに、ゼロ円スマイルを振りまき、過剰なまでのサービスをしているのは日本くらいです。

日本企業の生産性を上げるには、どちらかといえば、サービス業をテコ入れしないといけないのだと思います。

セルフレジやキャッシュレス決済を増やすなど、自動化できるところは自動化し、少ない人数でオペレーションできる仕組みに変えていく必要があります。

まとめ

さて今日は、最低賃金を上げ続けると日本の社会はどうなるのか考察してみました。

最低賃金を上げると企業の人件費負担が増えるため、無理やりにでも効率化を図るようになるでしょう。

そうすれば機械化が進み、単純労働者は職を失います。結果、生活保護受給者が増えて国の財政負担が増えます。

そうなれば、国民から新たな税金を徴収しなくてはいけません。

良いこともあれば悪いこともある。最低賃金を上げても良いのかどうなのか、なかなか難しい問題ですね。

それではまた。

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