今さら「嫌われる勇気」
こんにちは。人材開発の冨田です。
さて、大ベストセラー「嫌われる勇気」について今さらながら解説してみたいと思います。
この本は「アドラー心理学」を対話形式のストーリー仕立てで構成されています。
まず、初めに言っておきますが、アドラー心理学は「劇薬」です。
人によっては非常に厳しく感じると思います。
言い訳ができなくなってしまうからです。
でも、人によっては「希望」となり得ます。
それでは、このアドラー心理学とはどのようなことを言っているのでしょうか。
結論から言います。
「人は、今この瞬間から変われる」 ということです。
今までにどんな過去があったのかは関係ありません。
つまり、これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについては何の影響もない。 ということです。
例えば、貧困な家庭で育ったとか、親が離婚して親の愛情を受けていないとか、思春期にグレてしまったとか、自分には学がないとか、過去にネガティブな印象、あるいはトラウマを持っている人もいると思います。
がしかし、それらの過去は、これからを生きるためには「何ら影響がない」ということなのです。
それでは、この思想を紐解くために、3つのポイントから解説していきます。
①承認欲求を否定する
まず、承認欲求とは、人間であれば誰もが持っている根源的な欲求です。
他者から認められたい。褒められたい。 他者から承認されることで、自分の存在意義が得られる。自分には価値があると思える。単純に嬉しい。やる気になる。
このような欲求を、アドラーは捨てろと言っています。
厳しいですね〜
他者の承認を求めるようになると、次第に他者の期待に応えようとし始めます。
それは、他者の人生を生きるということで、自分の人生を生きられなくなるということです。
たとえば、親の期待に応えるために、なりたくもない職業に就くことが本当に良い事と言えるでしょうか。 そのことで思い通りの人生が歩めなければ、親のせいだとずっと根にもったまま生きることになるでしょう。
それって、誰が得するのでしょうか?
承認欲求を否定することで、「自分が」やりたいことをしやすくなるということです。
②課題の分離
まずは、「自分の課題」と「他者の課題」をしっかり見極めることです。
たとえば、
子供が勉強しないで遊んでばかりいる。
部下が思うように動いてくれない。
妻がイライラしていて八つ当たりされる。
これらはすべて「他者の課題」であり、自分の課題ではありません。
子供が勉強しないことによって将来苦労するのは子供自身であって、私ではありません。
相手がイライラしているからといって、そのイライラを解消するのはその本人であって、私ではありません。
他者の課題は切り離すことです。
要は、何かの事象が起きたとしても、干渉し過ぎない、気にし過ぎない、ということです。
別の例えでいうと、
「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」
つまり、水が飲める環境には連れて行ってあげるが、最終的に水を飲むかどうかを決めるのは馬自身であって、私ではない。
ということです。
これは「我関せず」を推奨しているのではありません。 いつでも援助するよという姿勢ではあるが、必要以上に干渉しないというスタンスです。
ここでのポイントは、「その課題を解決しなかった時に、その結果を最終的に引き受けるのは誰か」ということです。
その本人以外には居ないですよね。
③原因論ではなく目的論
たとえば、過去にイジメられたトラウマがあり、うつ状態となり学校に行けずに引きこもりをしている子が居たとします。
その子は、過去の嫌なトラウマが原因で引きこもっていると考えるのが「原因論」です。
そうではなく、引きこもるためにうつ状態になっていると考えるのが「目的論」です。
別の例えでいうと、
今の自分が、何だか成功できていないのは、生まれ育った環境や、努力して来なかった自分に原因がある。これが原因論。
そうではなく、うだつが上がらない自分になるために、自分は努力して来なかった。これが目的論です。
「こうなる」という結末は先に決まっている。あらかじめ自分が決めている。という理論です。
「え!どういうこと?」と思われた方がいるかもしれません。
この理論はなかなかすぐには受け入れられないでしょうね。。
なぜなら、この「目的論」を受け入れるということは、言い訳が出来なくなるからです。
「目的」を達成するために「原因」を作り出しているということだからです。
難しいですね〜
まとめ
アドラー心理学では、「自分の人生は自分で切り開くものですよ」と言っています。
誰のせいに出来るわけでもなく、自分に起きるすべてのことが自己責任ですよと。
厳しいですね〜
何か悩みを抱えている人にとっては「劇薬」ですよね。激しい副反応を示すかもしれません。
でもこの薬が効く人にとっては、人生が劇的に変わるかもしれません。
最後に結論をまとめると、アドラー心理学とは、
「誰でも、いつからでも自分を変えられる」
「自分さえ変われば、そこから人生は変わる」
ということです。
そして、そのために大事なマインドとしては、
「過去に捉われることなく、未来を怖れることなく、いまここを生きる」
そう、「いま」を全力で生きるということです。
「いま」という刹那が、その連続が未来となっていきます。
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