
なぜ日本のお米は高いままなのか?-そこには構造的な問題が・・
こんにちは。冨田です。
お米の値段が高止まりしていますね。
コメは日本人の主食なので、多くの家計が圧迫されているのではないでしょうか。
先月、急きょ農水相に就任した小泉進次郎氏が、「備蓄米」を放出して米価を抑えようと動き出しました。この動きはとても迅速で評価されることなのですが、実は備蓄米放出は一時的な効果でしかありません。
日本のお米の値段が高いのには、もっと根深い理由が隠されているのです。
そこで今日は、なぜ日本のお米が安くならないのか、その「構造的な問題」を解説いたします。
お米が安くならない3つの「構造的問題」
「備蓄米を放出すれば、市場に出回るお米が増えて値段も下がるんじゃないの?」
確かに短期的にはそうかもしれません。でも、それはあくまで対症療法です。
日本の米価問題の根本には、根深い「構造的問題」があるのです。
構造的問題①:「農協(JA)システム」と米価の硬直性
まずは日本の農業界の巨人、「JA(農協)」の存在です。
JAは、農家さんからお米を集めて、まとめて販売したり、肥料や農薬を供給したり、農家さんの経営をサポートしたりと、日本の農業にとってなくてはならない存在です。
特に、個々の農家さんでは難しい価格交渉などをJAが代行することで、農家さんの収入を安定させるという大きな役割を果たしてきました。
ただ、このJAが決める「生産者米価(農家さんがJAにお米を売る値段)」がある程度固定されていると、どうなるでしょう?
JAからお米を仕入れる卸売業者も、その価格を基準にせざるを得ません。
結果として、市場全体の価格がなかなか変動しにくく、下がりにくい、という状況が生まれてしまうんです。
農家さんを守るための仕組みが、逆に価格の柔軟性を失わせている側面があるのです。
構造的問題②:「零細兼業農家」中心の国ニッポン
「減反(げんたん)政策」というのをご存知でしょうか?
これは、お米が作られすぎて余っちゃうのを防ぐために、「今年はこれくらい作付け面積を減らしてね」と国がコントロールしてきた政策です。
この政策、お米の価格を安定させる効果はあったのですが、一方で、日本の農業の姿を大きく変えてしまいました。
どういうことかというと、
農業だけで生計を立てる「専業農家」さんにとっては、作付けを減らされるのは死活問題です。
でも、お勤めしながら週末だけ農業をする「兼業農家」さんにとっては、そこまで大きな痛手ではないかもしれません。
むしろ、減反によって米価が維持されるなら、小さい規模でも農業を続けやすくなります。
その結果、日本では農業従事者の過半数が「兼業農家」さん、しかもその多くが小規模な「零細農家」さんという構図になりました。
実は、これらの農家さんたち全体の生産量は、お米全体の10%程度とも言われています。
小さい面積で農業をすると、どうしてもトラクターなどの機械代や手間が割高になり、生産コストが高くついてしまいます。
そして、その高めのコストに合わせてお米の価格が決まってしまうため、いつまでたっても米価が下がらないというわけです。
構造的問題③:JAは国内屈指のメガバンクでもある
そして、ここが結構ミソなんですが、JAって実はお米を扱うだけじゃないんです。
「JAバンク」や「JA共済」といった名前を聞いたことがある人も多いはず。そう、JAは日本でも有数の「巨大な金融機関」でもあるんです。
では、その大きなお金の源泉はどこから来るのでしょうか?
もうお分かりですよね。
兼業農家の方々です。
彼らは、お勤め先の給料や年金など、農業以外の安定した収入を持っています。
そして、その大切なお金をJAバンクに預けたり、JA共済に加入したりするわけです。
結果、JAは巨大な預金額を抱え、そのお金を株や債券に投じ、とてつもない運用益を出しているのです。
JAにとって、たくさんの兼業農家さんが組合員でいてくれることは、この金融ビジネスを安定させる上でとても重要です。
つまり、農業の効率だけを考えたら「もっと大規模化しなきゃ」となるかもしれませんが、JAにとっては、今の零細兼業農家さんがたくさんいる体制が、ある意味「うまみ」のある状態とも言えるわけです。
こうなると、なかなか既存の体制や組織を大胆に変えることが出来ないのも、無理はないのかもしれません。
最後に
ということで、今回はお米の値段が下がらない「構造的な問題」について解説しました。
次回は、「お米の値段を下げるためにはどうすれば良いのか?」について解説いたします。
それではまた。
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