知らぬ間に「手段の目的化」をしていませんか?
こんにちは。人材開発の冨田です。
さあ、今年中に5キロ痩せるぞ!
さあ、今年の売上目標は〇〇億円だ!
さあ、来年こそは全国大会に行くぞ!
人は皆、何らかの目標に向かって頑張っているものです。
そうじゃなければ、なんとなく無気力な毎日を送ることになると思います。
人は目標があるから頑張れる。ハリのある生き生きとした毎日が送れる。
そう、何かの目標を立てるということはとても良いことです。
そこで、まず最初に定義付けておかなければいけないのが、それぞれの言葉の意味です。
「目標」と「目的」、そして「方法」。それぞれどんな意味だと思いますか?
「目的」…最終的に射抜きたい的
「目標」…目的に行き着く為の道しるべ
「方法」…目標を達成する為の手段
と、定義付けられます。
でも、ここでよく陥りがちなのが、「手段の目的化」です。目的を達成する為の手段なのですが、あとあと冷静に見てみると、「手段」を実行することが「目的」になっていることが、まぁよく見受けられます。
いくつか具体例をあげてみます。
学校教育
髪の長さはどうだとか、髪色はどうだとか、日本の学校はいまだにそんな事をルール化しています。
なぜ地毛証明書が必要なんでしょうか。
なんの目的でこのような校則を決めたのでしょうか。
おそらく先生に質問しても、「ルールだから」と言うだけでしょう。
部活においても、勝利至上主義に走り過ぎていることが問題視されています。
もちろん、全国大会に出場すること、あるいは全国制覇をすることを目標に掲げて努力することは素晴らしいことです。
ただ、「勝つことがすべて」という勝利至上主義には一石を投じたいです。
本音のところ、全国大会へ行くことは、指導者の目的ではないでしょうか。
選手たちは、もちろん勝ちたいのは山々ですが、それが本来の目的ではないはずです。
選手はまだ10代の子供です。彼ら彼女らにとっては、もっと大きな目的があります。
それは「立派な社会人になる」ことです。
指導者は、子供たちが立派な社会人になるための指導をするべきです。そうです、「人間教育」が本来の目的のはずです。
その「手段」として、勝利へのあくなき執念とか、日々の厳しい鍛錬があるのだと思います。
仮に、全国大会へ行けなかったとしても、その目標に向かっていくプロセスがしっかりとしていたならば、それは「はなまる」をあげるべきです。
そのプロセスこそが、かけがえのない「宝物」だからです。
自己研鑽
たとえば筋トレ。
筋トレは、ダイエット目的であったり、筋肉をつけて細マッチョになりたいとか、そんな目的があると思います。
腕立て伏せや腹筋を何回やるとか、あるいはダンベルプレスを何回やるとか、ある程度決まったメニューをこなしていくと思います。
でも、いつしか、回数をこなしていくことだけが目的となりがちです。
筋トレやっている人は分かると思いますが、一回一回の動作に対して、「意識」をどう持っていくかで「負荷」が全然変わってきます。
ただ惰性で回数をこなすのは、実はあまり意味がありません。
行為としては同じなのですが、意識を筋肉に集中するだけで全然効果が変わってきます。
なので、回数をこなすことが目的になっている。つまり「手段が目的化」している状態となります。
読書も同じことが言えます。
読書は、あらゆる知識をインプットすることが目的だと思います。なのに、月に何冊読んだとか、数だけが目的になりがちです。
自分の頭にインプットしないと意味がありません。
もっとひどいのが、書庫に飾るだけの本になっていることです。棚に本がズラッと並んでいると、それだけで知的な感じがします。インテリを装うことができます。
それって、何の意味があるのでしょうか。
仕事
もう少し行きましょう。
会社で行う会議やミーティングですが、定例化していませんか。セレモニー化していませんか。
本来の目的は、何かを議論したり決議したりするのが会議だと思います。
ところが、定例的な会議は、会議をすること自体が目的となりがちです。会議やミーティングを実施したことで仕事をした気になってしまうのは、手段の目的化と言わざるを得ません。
あと、仕事をしていく中で様々なKPI(キーパフォーマンスインジケーター=重要な指標)を設定していくと思います。
営業であれば架電件数、訪問件数などがあると思いますが、それら目標件数をこなすことは大事です。でも、その中身を見直す必要はあります。ただ件数をこなすだけの行為になっていないでしょうか。ちゃんと契約に向かっている行為になっているでしょうか。
WEBサイトの制作においても、作ることが目的となっていないでしょうか。見栄えのする写真や動画で構成するのは良いのですが、最終的な目的というのは、「誰に見てもらい、どういう行動をしてもらいたいのか」ということです。
企業SNSもしかりです。
更新すること自体が目的となっていないでしょうか。それらの情報発信はしっかり自社のターゲット層に届いているでしょうか。行動喚起につながっているでしょうか。いま一度見直してみる必要はあります。
まとめ
さて、いくつか事例を交えながら「手段の目的化」について解説しましたがいかがでしょうか。
耳の痛い話もあったかと思います。分かります。私もそうだからです。
本来、「目的」を達成するための「手段」なのですが、いつの間にか、その「手段を実行すること」自体が目的になってしまうのです。
どうしてそうなるのでしょうか?
それは、どちらも「終わりがない」ためです。
最終的な目的(ゴール)は、実は果てしないのです。たどり着いたと思っても、また新たなゴールを設定するからです。
「手段」は、考えれば無限に出てきますよね。
どちらも終わりがないから混合しがちなのです。
ということで、次回はアンサーソング「手段の目的化は悪いことじゃない」をお届けします。
それではまた。
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